ありけんエッセイ集


有田健太郎のエッセイコーナーです
by a-k_essay
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2008年9月『日本海の旅』〜1日目〜

プラットホームの先端に立って、駅員のものまねをして指差し確認をする少年。
電車に乗ると、運転席のすぐ後ろのガラスにへばりついてしまう人。
ホームに滑り込んでくる列車を見ると、思わずカメラを構えてしまう人。

それらの光景に、僕は親しみを感じてしまう。

日々忙しいのはきっとみんな同じことで、その息抜きの仕方も人それぞれだと思う。

だけど旅と列車が好きな自分は、そんな時『列車の旅』に出かけるのだ。


動きだす列車の窓には、僕さ。


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9/4(木)昼過ぎ、中央本線から篠ノ井線に乗り換えた僕は、直江津(新潟県)に向かっていた。
夏空に積乱雲。真昼はまだまだ夏が優勢のようだ。

しかしこの進路は、実は不本意だった。


前々から鳥取に行きたかった僕は、夜行快速列車の存在に気づき、この機会に『鳥取砂丘、らくだはニンジンを食べるのか実証の旅』に行こうとひらめいたのだ(前日の9/3(水)12:30)。

仕事を終えた僕は、JR普通列車全線5日間乗り放題で11500円という『青春18切符』を買いに『みどりの窓口』へ向かった(9/3(水)20:00)。

「あー、すみません。18切符の発売は8/31までなんですよ」



「えっ、9/10までなんじゃないんですか」

「それは使用期間で、発売期間は8/31までなんですよ」

ぱくぱくぱくぱく…(ショックで口が金魚みたいになっている)

そう、たしかそうだった。
なんということだ、自分としたことがそんな基本的なことを見落としていたのだ。
これじゃ鳥取どころか、どこへも行けないじゃないか。

ぱくぱくぱくぱく…

ショックを隠せない僕を見て、若いその男は、ドラえもんのようにすごい切符を出してくれた。

それは『東日本フリー切符』というものだった。
JR東日本と北海道の普通列車全線、連続する5日間乗り放題(10000円)というすごい切符だ。

だけど鳥取は区画外なので南への進路は断たれた。

とっさに僕は、ちょうど3時間後に池袋から出る夜行快速列車『ムーンライトしなの』で、新潟に行く計画を思いついて、膨らませた。
朝早く新潟に着いて、それから北上すれば1日で青森の下北半島まで行けると考えたのだ。

しかし、全席指定の『ムーンライトしなの』は満席で、その計画もあっさり断たれた。

もー、行く前からひどい有様である。

なーに、どこに行っても最高の旅にしてやるさ!
相変わらずダメな男である。


こうして、9/4(木)7:30、『日本海の旅』がスタートしたのだった。


9/4(木)8:25立川
通勤ラッシュに耐えきれず、早速『あずさ5号』(フリー切符は使えない)に乗ってしまった僕は、あまり気分が良くなかった。

少々風邪気味で、疲れも溜まっていたのだろう。
だけど、当分作れないこの機会を逃すことはできなかった。

甲府で各停に乗り換え、4人席に足を伸ばして、窓辺に時刻表と切符とコアラのマーチを置くと、ようやく旅らしくなってきた。


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【諏訪にて車窓から1枚】



天気は3日間よくないとの予報だったが、

晴れ空の下、山間部は積乱雲をさらに押上げ、

緑のいがぐりを沢山抱え込んだ栗の木、

まだ重たいすすきの穂は銀色に揺れて、まけじと芦も銅色に光り、

列車が揺らす沿線のコスモスが、それらに鮮やかさを加えて、

甲斐の国を行く列車は、心地よい風のよう。


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【やっぱりソバでしょ】
各駅停止の旅は、乗り換えが命である。
2時間待たされる時もあれば、数分間の乗り換えを失敗して2時間待たされるはめになったりする。
だから食事も待ち時間次第。
ちょっとした食べ物やお菓子は、常に買っておきましょう。
おいしそうにソバを食べる若者を横目に、容赦なくありけん列車は出発するのです。
う〜、自分も食べたいぞ



篠ノ井線の旅を終え、13:39、長野から信越本線で直江津へ。
曇天の山間部を進み、ようやく直江津へ。そのまま、北(新潟方面)へ向かった。

『青海川』という日本海に一番近い、有名な駅がある。
そこは1994年の『ラストソング』という映画のワンシーンに使われた駅だ。
自分が直江津に向かったのはそこへ寄ろうと思ったからだった。


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【青海川ホームにて】
反対のホームに渡り、カメラをセットして、タイマーを押して、
線路を駆け渡り、ホームに上り、すかして立つ(笑)。晴れてればよかったのに。



博多のあるバンドが上京しデビューするが売れず、列車で地方の祭りなどのどさ回りをさせられる。

そのうち、自信家のボーカルのシュウちゃん(本木雅弘)より、シュウちゃんを慕ってついて回っていたギターのカズヤ(吉岡秀隆)の才能の方が認められる。

シュウちゃんはカズヤのマネージャーとなるように事務所から言い渡され「ふざけるな!」とぶち切れるが、結局歌うのを止めてカズヤのマネージャーになり、成功してゆく。もちろん、その後破局が待っているのだけど。

映画『ラストソング』のそういったあらすじの中、この駅は、上りのホーム(続けてゆく者)と下りのホーム(帰郷する者)の別れの場所に使われた。

ベースのゲンとドラムのマツは、博多に帰る下りのホーム。
シュウちゃんとカズヤと倫子(安田成美)は、再び東京へ向かう上りのホーム。

夕陽の中、向かい合う2つのプラットホームは印象的だった。
20歳くらいだった僕は、双方のホーム(人生)に等しく感動し、涙した(笑)。


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【こんな感じ】
ホームから釣りだってできそうな勢いだ。
嵐の日とかはすごぞう、、



新潟県中越沖地震の被害を受けて、あらたに復活したばかりの駅。
1時間に1本の待ちも苦にならないくらい景色はきれいで、風も気持ちよかった。

この駅は旅人が愛してよく寄る駅だ。
これからもずっとこのままであってほしいと思った。



1時間後、次の列車で信越本線から越後線に乗り換えて新潟に向かった。
20時を過ぎて新潟の安ホテルに素泊まりを決めた。

ホテルは、前回『2007年3月きのこの旅』と同じ場所に決めた。

4200円と大きく看板が出してあり、受付に行くと「新しくて奇麗な新館と、手前にある旧館とではどちらがいいですか?」と聞かれる。

「新館で」と答えると。

「4700円です」と言われる。

…そりゃそうだよな。

そう思いながら部屋に行くと、前回の部屋と同じだった。
ということは、前回も巧みな話術にだまされたんだろう。

写真データをCD に焼くためネットカフェの場所を交番で聞いて、25分も歩いてようやく用事を済ませ、帰りに今日初のまともな食事、ラーメンを食べた。

ワンマン大浴場でバシャバシャ泳いだ後、明日の計画を練った。

明日は、10:15新潟発の『快速きらきらうえつ』で一気に酒田まで行き、酒田〜秋田までの海に近い駅で降りようと決めた。


しかし明日、事がすんなり運ばなくなろうとは、、
少しは予見してて、しかも、もう慣れていた。



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【青海川ホームにて】
日本海は演歌が似合うよね。
何度も見ているのだけど、曇りだったり荒れてたりが多い。
また、いつか立ち寄れたらいいな。




〜2日目に続く〜

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by a-k_essay | 2008-09-09 13:27
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