ありけんエッセイ集


有田健太郎のエッセイコーナーです
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2008年9月『日本海の旅』 〜2日目(前編)〜

ホテルのカーテンを開けると、眩しい朝日に思わず手をかざした。
旅先なのにたくさん寝たので気分は良く、干していた洗濯物を取り込み、準備を終えた僕は新潟駅へ向かった。


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信越本線や羽越本線では日に数本、快速列車が運行されている。
走行距離も特急とさほど変わらず、速く。なのに特急と違い、普通運賃で乗れるのだ。
しかも車両は旧国鉄の特急車両を使っているので、疲れずに快適。
長距離を飛びたければこれを逃す手はない。

僕は、昨晩完璧に練ったプラン通り10:15発の『きらきらうえつ』(指定券の510円だけは別にかかる)の座席指定券を申し込んだ。

「あー、もう満席ですね〜」



窓口スタッフの次に発せられる『お助け案』を待ってみたのだが、彼の口からは何も続かなかった。

あっさりである。


仕方なく30分後に出る特急『いなほ3号』で、酒田(山形県)まで飛ぶことにした。

普通列車の旅で、特急列車を使うのは『フリー切符旅人』にとってパス1を意味する。
別途にお金がかかるし、プライド(あまり無い)にも関わるからだ。
僕はもうパス2だ。リーチである。


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【隣の席では】



でも、やっぱり、特急はいいよね!
快適やもん。

窓辺にはずっと海、海、海。
高くなった太陽に照らされ、澄んだ海が様々な青のステンドグラスのように流れてゆく。

となりの席では、女子大生らしい2人がなにやら熱く語っているもよう。
夏休みを終え、新学期に向かっているのかな。


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【酒田deピース】
一人でなんだか楽しくなってきている写真。


酒田駅で各駅停車に乗り換え、秋田方面に向かった。
ちょっと進んで『吹浦(ふくら)駅』で2時間の待ちとなった。

『2時間の待ち』は時刻表により分かっていたのだけれど、時刻表の地図が海岸線に近かったのと、『吹浦』と言う地名から、海に近いのではないかと予測していた。

終点の折り返し列車を降り、ホームで伸びをしていた運転手に聞いてみると、松林の裏はすぐ海だということが分かった。


2時間の待ちと言うと大変なものである。
折り返し列車はカーブの先へ消え。
駅舎には、駅員はもちろん僕以外だれもいなくなった。

暑さをより暑く演出する蝉の鳴き声に混じり、
風鈴よりも軟らかく軽い鈴虫の音が、真夏を少し後ろへ遠ざけてしまっているよう。

…晩夏だ。


東の鳥海山に覆いかぶさるように成長中の入道雲は、山をより壮大に見せ。
その雲端が少しずつこちらへ進出し始めた頃、僕はと言えば。

海でカニを捕まえていた。


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駅を出て集落の小道をうねうねと進み、

青空へ突き伸びる踏切棒を仰ぎ、

当分列車の来ない線路でお決まりの写真を撮り、

汽水川の橋上を魚影を探しながら渡り、

海の気配に連れられて、まだまだ、どんどん歩いてゆく。


海って、なかなか着かんよね。

でも、なんだか、一人ですごく楽しくなってきた。


うおー

うおーー!

海はどこだ!


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【こっちだ!】



きゃー、海〜!


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靴を脱ぐと足が焼けそうに暑い。

飛び込め!


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当然、水着(パンツ)de 泳ぐ!


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【強者どもが夢のあと】
スイカがたくさん芽吹いている(笑)
スイカ割りの後、みんな焦る気持ちを押さえて、ちゃんと種を出しながら食べたのでしょうね。
えらい。



砂浜を犬のように駆け回って、写真撮って、横になって、ボーっとなって、
本当によい時間だった。


吹浦駅への帰り道は『鈴虫小道』。
銭湯帰りのように、ほあっとなって、遅い午後は秋の優勢。


踏切を越えた電柱で、8羽くらいのツバメの群に出会った。

ペチャクチャペチャクチャ、、

きっとまだ始まったばかりの、南国への旅中なのだろう。
お互い気をつけて、また会おう!


2時間経って、申し訳なささなど微塵も見せずにやって来たガラガラ電車は、吹浦のホームから僕と2人の乗客を連れて、さらに北へと向かった。

16時を回った太陽は、少しずつ夕陽へ変わり始めていた。




〜2日目前編、終わり〜

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by a-k_essay | 2008-09-09 17:55
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